内容説明
空前のベストセラー『日本沈没』が遂に完結!
著者・小松左京氏がどうしても書きたかった「列島沈没後」の日本人の姿。国土を失った人々はパプアニューギニアや中央アジアなど世界各地に入植、それでも政府機能だけはオーストラリアで維持されていた。国家の再興をかけ政府が取り組む2つの巨大プロジェクト。日本海に人工の陸地を建設するメガフロート構想とあらゆる気象データをスーパーコンピュータで解析して未来を予測する地球シミュレータ。日本人が自らのアイデンティティーを確立しようとする矢先、世界を震撼させる驚愕の事実が明らかになる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どどいち
55
面白かった。いろんな立場の視点で描かれていた。政治家・科学者・自衛官等…。それぞれの立場としての物語が勉強になる。だから面白い。2017/07/26
とも
51
★★★大作である。小松左京集大成、渾身の1作であることは間違いない。が、それと面白いかというと別で、本人も思いもよらず力が入りすぎたようで、重すぎるのである。付け足せば、構想のみを小松が行い、執筆は谷甲州という訳のわからない作家が受け持った様であるが、とにかく文章に面白みがない。読んでいても走らない、ノってこないのである。これがもし小松本人が書いていれば、数十年来の小松ファンからすれば、この人に任せてまで作品を作ってしまった判断が失敗だったと思わざるをえなく、つくづく残念な結果となった。2016/06/12
さっとる◎
40
第二部読了。決して好きな系統の話ではないのだけど、第一部を読み終わった時から二部も読むぞと。科学的にも気象学的にも政治的にも国際政治の駆け引き的にもその他諸々わからんづくしながら、日本人であることや国とはとか地球に生きていることとか、ぼんやりぐるぐるこんなに考えてしまう本もそうないなと。自分が、自分の国が一番大事で、それは生きる上でそうなんだろうけども、自然を地球環境を宇宙を半端にコントロールできてしまう人類って何なんだろう。どうにもならない大きな流れに何もかも任せきらない知恵が、恨めしくもある。2016/05/01
piro
34
前評判は今ひとつの印象でしたが、現実の現代社会が内包する様々な問題が投げかけられた思いになる、読み応えある作品でした。国土を失った日本国の誇りやアイデンティティを必死に守ろうとする人々。第一部とはまた異なる危機が地球規模で迫る中、各国の思惑の間で奔走する人々。熱い想いに満ちた物語でした。パトリオティズム(愛国主義)、ナショナリズム、コスモポリタニズム…何を軸に生きていくのが「正解」なのか、人其々だと思いますが、自分自身の軸は持ちたいですね。迫り来る現実社会の混沌も見据えて…。2023/12/19
速読おやじ
29
33年の時を経ての続編。小松左京は制作には大いに関わっているが筆を執ったのは同じSF作家の谷甲州。谷氏の経歴はユニークで大阪工大、建設会社、海外青年協力隊、JICA。沈没後の日本国民が世界各国に難民として生活をしているが、日本政府は存在しており、国としての復活に全力を上げている。書きたかった話は山ほどあったのだろうなと想像するけれども、物語には旬があるし、小松さん自身の筆による続編を読みたかったなあというのが正直な気持ち。ただ、小松さんが日本という国を心から愛しているのは物語の端々に窺えた。2022/05/30